親権と監護権の概念

1 親権とは 親権とは、子どもの身上(生活・教育など)の監護・教育、財産の管理、法律行為の代理などを、子どもの最善の利益のために行う権限であり義務です。 ⑴ 主な内容 ア 身上監護権 子どもの日常の世話、教育、居所の決定、職業の許可などを指す概念です。 イ 財産管理権 子どものお金や財産を管理・処分する権限です。 ウ 法定代理権 子に代わって契約を結ぶなど法律行為を行う権限です。 ⑵ 行使の基本ルール ア 婚姻中 父母が共同で行使します。 イ 離婚後 協議(または家庭裁判所)で共同親権または単独親権かを決めます。子どもの利益の観点から判断し、DV・虐待のおそれがある場合は単独親権を選択しなければならないことになります。 ⑶ 共同親権の場合の具体的な行使例(改正民法第824条の2) ア 日常の行為は一方だけで決められる。 今日の食事メニュー、服装、学校の宿題の確認、近所の習い事の継続、風邪のときの通常の受診など イ 重要な事項は、原則として父母で共同して行使する。 引っ越し先の決定、小学校・中学校の進学先、大きな手術の同意、パスポート申請、宗教関連の決定など ウ 子どもの利益のため急を要する場合は一方が単独で決められる。 DVから避難するための即時転居、緊急手術の同意など ※ 共同親権でも、対立が続く重要な事項については家庭裁判所が「親権行使者」を指定して一方に決めさせることも可能とされています。 2 監護権とは 監護権は親権のうち「身上監護権」の部分を意味し、子どもの日常的な世話・教育・生活環境の決定などを含みます。 ⑴ 監護の分掌(分担)
 ア 平日は母親の家で生活し、母親が学校の送迎・宿題・日常の食事を担当。週末は父親の家で過ごし、父親がレクリエーションや習い事の送迎を担当するなど。 イ 教育に関する決定(塾選びなど)は母親に任せ、医療や進学の大きな決定は父母で協議するなど。 ウ 1週間交代で監護する、長期休暇は父親が全期間担当する、など家庭の実情に合わせて柔軟に設計することが可能です。 ⑵ 監護者の指定
 共同親権の場合でも、一方を「監護者」と定めて、子の監護を主に委ねられます。日常行為だけでなく、監護・教育・居所の決定・職業許可などを単独で決めることができます。 非監護者(もう一方の親権者)は、監護者の決定を妨害してはいけないこととされています。 3 親権と監護権の関係・違い 親権は包括的な概念といえます。 身上監護と財産管理法定代理をカバーし、離婚後も父母のどちらか(または双方)が親権者として責任を負います。身上監護権は親権の一部で、主に「子どもの生活・教育の現場」を担う実務的な権限です。 改正法により、共同親権の下でも監護の分掌や監護者指定で柔軟に役割を分担しやすくなり、結果として、「共同親権=必ず子が両親の家を行き来する」わけではなく、監護の安定を保ちつつ両親の責任を維持する運用が可能になりました。 紛争になった場合は家庭裁判所で調整をすること(親権変更、監護者指定、親権行使者の指定など)が想定されていますが、弁護士としては、適切な時期に家庭裁判所が判断を下すことができるかも気になるところです。

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